安倍総理の歴史問題に対する戦略

安倍総理は総理就任早々に村山談話を、続いて河野談話を継承すると明言しました。正直なところ保守派にとっては裏切られたような気持ちにさせられる発言です。国会答弁を見てギリギリのところで踏み止まってると考えてる人も、気持ちとしては同じではないかと思われます。安倍総理はいったい何を考えてるのでしょう? 継承すると言いつつも実際には継承せず言葉巧みに誤魔化そうとしてる、継承すると言っておいて後からそれを覆すつもり、多くの人はこのあたりを考えていると思います。何かに妥協して筋を曲げた、変節した、正体を表した、こう考えてる人もいるようです。さて安倍総理はいったい何を考えてるのでしょう。
 私が国会答弁を見て受け取った安倍総理のメッセージは「政治が歴史を決めてはいけない」であり、「政治家の語る歴史は政治的な操作が行われるので正しくない」です。以下はそこからの私の類推です。類推ですが確信を持ってます。


安倍総理は多くの人が考えるのとは違う角度から歴史問題に挑んでます。普通であれば個々の歴史認識の間違った部分を正すことでしょうが、安倍総理が行っているのは政治的に定められた歴史観の否定です。
「政府が歴史観を決めてはいけない。政治で決めた歴史観は正しく歴史を表してはない。」これを訴えてるのです。個々の歴史問題には踏み込まず、政治の場で語られる歴史認識を全て一括りにして正しくはないものだと全否定。これが安倍総理が考えてる事だと思われます。
またこれが安倍総理の基本姿勢となります。政府が歴史観を決めてはいけないと言ってるのですから歴史認識の修正を安倍政権が行うことはありません。歴史観の中身に踏み込んでどうこう言うこともありません。明らかなものを個別の事実として認め、明らかに間違いであるものを間違いだと指摘する。安倍政権が歴史について語るのはこれだけになるはずです。

これでいくと村山談話河野談話とも継承することにもなります。両談話も骨抜きされてて明らかな事実しか書いてないので。河野談話に国が強制連行したなんて書いてません。良く読めば認めてもいいようなことしか書いてないのです。ただし誤解を招く書き方になってます。勘違いしやすい書き方になってます。左翼はこれに骨を入れ直して喧伝してます。談話には入ってない入れ直した骨を公式な談話だとして喧伝してます。破棄して欲しいところですが基本が「政府が歴史観を決めてはいけない」ですからいじれません。政治で決めた歴史観は正しく歴史を表してはない」と、正しくないと言ってるのですから正しくないものをわざわざ否定するのもおかしな話になります。繰り返しますが骨抜きされてるから否定するところは別にないし。(破棄するには骨抜き過ぎましたね) 私は追加説明して誤解出来ないようにするというのがいいのではないかと思うのですが、「政府が歴史観を決めてはいけない」ではそれも期待出来ません。「

戦略もこれをベースに組み立てられてます。その戦略はこれです。 「政治の側で歴史観を確定することを防ぎ、政治で決められた歴史観を正しくないものとし、歴史観に関する政治的な縛りを解いた上で民間の側で歴史観の中身を正してもらう。」

良し悪しはともかくこれが安倍総理の歴史問題に対する戦略です。国会答弁やTVでの発言は私が見た限り全てこれで説明出来ます。辻褄があいます。まず間違いありません。安倍総理はこの戦略を選択しています。



この戦略で重要となるのは民間の側の働きです。この戦略の正否は全てここに掛かってきます。私たちは安倍総理が歴史プロパガンダの伸張を防いでる間に政府に頼らず歴史認識を正していかねばなりません。そうしないと安倍総理の戦略は不発に終ります。



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