支持されるテロ敵視されるテロ

支持されるテロというものはある。
単純に虐げてる者に対する虐げられる側からのテロは支持されもする。
弾圧してる側に対する弾圧されてる側のテロとか。
ただしテロ以外に効果的な訴えが出来ない場合に限られる。
真っ当な選挙が行われてるなら選挙で戦うべきでテロは支持されない。
議会が機能してるなら議会で戦うべきでテロは支持されない。
役所に訴えるとか裁判に訴えるとかの手がある時も駄目。
相手と話し合いが出来る場合も駄目。
テロ以外の手段で戦えるならテロは支持されない。
テロ以外の対抗手段が無い時のみテロは支持されもする。


支持されもする。が、支持されるとは限らない。
支持される為にはもう一つ大事な条件がある。それがこれ。

攻撃によって危害を加える相手が敵である事。


虐げられてる側が虐げてる相手に対して攻撃するのは支持される。
しかし攻撃対象がそれ以外となると、どんな大儀があろうと支持されない。
支持されないどころか仲間以外の者全てから敵とみなされる。


そうなる理由は極めて単純。
攻撃の対象となった者は攻撃してくる相手を敵と看做すから。
敵以外に危害を加えると、その“敵以外”が新たに敵になる。
敵と敵以外が敵。つまりは全部が敵となる。
敵がそのテロ行為を支持するわけがない。
敵以外に危害を加えると全部を敵に回すことになり、全部から敵視される。


敵と看做す理由は自分が攻撃対象にされるかもしれないという一点だけ。
こうなるとテロリストにどんな大儀があろうとまったく関係無い。


支持されるテロというものはある。
しかし今行われてるテロにそういったものはない。
今世界で行われてるテロはどれもが敵でない者を攻撃してる。
今暴れてるテロリストは全ての人にとって敵。
テロリストがどんな大儀を掲げようとどんな主張をしようとまったく関係無い。

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チェチェン辺りは置かれた状況からして支持を集められそうに思うのだけど、一般人を攻撃対象にした為に支持が集められなくなってしまった。モスクワ劇場占拠事件では侵略者であり弾圧者であるロシアに支持が集まってしまう始末。チェチェン武装勢力が敵でない一般人に危害を加えようとしたという一点のみでこうなった。他の者はロシアが侵略者であり弾圧者であることを知っていながらもロシアを支持せざるを得なくなってしまった。ロシア政府の関係者への攻撃であればこうはならなかったはず。

テロといえどやって良いことと悪いことがある。善悪ではなく合目的性の観点からやって良いことと悪いことがある。攻撃対象を絞り込めば大儀や主張次第で支持を集められもする。支持を集めたいのであれば敵以外へのテロは厳に慎むべき。