「権利には義務が伴う」2

発掘シリーズ2
以前yahoo掲示板に投稿したものを掘り出してきたものです。
前回とは違うタイプの権利と義務の話。


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「権利には義務が伴う」2

共同で井戸を作ることになりました。
その井戸は井戸作りした人達のものです。
「俺達の井戸だ。俺達で使う事にしよう」
参加した人皆が水を汲む権利を持った訳です。他の参加者から水を汲むことを邪魔されない権利を持った訳です。水を汲む権利を持つ為には井戸作りに参加するという義務を果たす必要があると言う事です。


水を汲み続けるには井戸の維持管理が必要です。
水を汲む人には井戸の維持管理と言う義務が発生します。
この義務を果たさないと井戸が使えなくなります。
やらない訳にいきません。この義務は避けられません。
水を汲む権利を得る為には
井戸作りをすると言う義務を果たし、
水を汲み続ける権利を持ち続けるには
井戸の維持管理と言う義務を負わなければならない
と言う事です。



さてこの井戸、そうそう手入れの要るものではありません。維持管理の義務があると言ってもほとんどやることありません。皆で管理者一人決めてその人が時たま手入れすれば済む程度。他の人は水を汲む権利は毎日行使しますが、維持管理の義務の方はしません。こうなると水を汲む権利だけがあるような気がしてくることでしょう。それでも井戸作りに参加した人には井戸作りに参加したという意識があります。維持管理の義務としては何もしなくても権利だけとは思わないでしょう。
しかしその子供がその権利を継ぐと、もう水を汲む権利しか意識されません。井戸作りに参加してないし、維持管理も別にやってないのですから。義務としては何もせず、水だけは権利として汲んでる。ではこの子供には権利だけあって義務はもうないのか。そんなことはありません。やはり維持管理の義務は負ってるのです。


ある日井戸が壊れました。一人が言いました。
「俺には水を汲む権利がある。これでは汲めないではないか。直せ!」
こんなことを言うのは間違いです。直す義務はこの人にもあるのですから。


結局共同で直す事になりました。
うち一人が「俺には水を汲む権利はあるが、直す義務なんてない。俺はやらない」
こう言って最後までなにもしませんでした。維持管理の義務を果たしませんでした。


井戸の修理完了。
その人は皆から言われるかもしれません。
「修理を手伝わなかったお前にこの井戸は使わせない。」と。
汲めるかもしれませんが、他の者から邪魔されるかもしれません。
この人の水を汲む権利は他の人に認めてもらえないかもしれないのです。
義務を果たさなかった為に。




一人ぐらい修理手伝わなくても井戸は直ります。
手伝わなかったけれど今後も使っていいよと言われるかもしれません。
義務を果たさなくても権利認めてくれるかもしれません。
では権利だけで義務はなくてもいいのか。そんなことはありません。
もし皆が義務を果たすのを避けたら井戸は使えないままです。
水を汲む権利を全員が失います。
他の人が、そのやらないと言う人の義務を代わりに果たしたから権利が持ててるのです。
この人が義務を他の者に押し付けただけのことで、
やはり権利は義務を果たさないと持てないのです。
義務のない権利などないのです。



http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=552020085&tid=a2a3a2a3a2a3a1a17fbka19bera4n2fec05a4ja4ia4ka4da4a4a4fa2a3a2a3a2a3&sid=552020085&mid=4670

権利に義務が伴うことを説明する為に権利と義務の関係を解きほぐして書いたものですが、書いたのが説明の為ということであってここまでの解きほぐしはいつもやってます。趣味みたいなもんです。ブログのタイトルを「基本を押さえて」としてる所以です。



権利と義務に関してはこんなのも書いてます。
■[基本事項]自由・権利・義務・責任の基本
http://d.hatena.ne.jp/sadatajp/20070203/1170508724



で、以上はトラックバックもらったこれ。
http://nejirenoichi.blog28.fc2.com/blog-entry-44.html
これに対する間接的な反論。権利については結構考えてますよ、私は。