生活保護制度の私案−制度設計


制度の趣旨
職を失った者及び身体障害・持病等により通常の就業が困難な者に、健康で文化的な最低限度以上の生活を可能とするだけの収入を得る労働機会を与えると共に、社会生活適応能力の開発及び維持を図り、この制度に頼らない自立を促すことを目的とする。


保護の対象者
自身の身の回りの世話が出来る程度の能力があり、他の法律による保護の対象となっていない者で、この制度による保護を希望する者。
資産の有無は問わない。収入の有無も問わない。希望者は全て受け入れる。
※他者による介護が必要な者は、この生活保護からは切り離し、別の制度(生活支援制度:仮称)を作って対処する。就学児童に関しては、就学支援を目的とした制度を活用することとし、この制度での特別な支援は設けない。ただし、同居可能な宿舎を用意する等の便宜は図る。


生活保護の内容
1、最低限の生活費が得られるだけの労働機会の提供。
労働時間の制限
(1)通常の就業が困難でない者の場合。
週5日以内、一日4時間を基本とし、週に20時間を超えない範囲で、その地域の最低賃金による時間給労働の機会を提供する。


(2)通常の就業が困難な者の場合。
労働基準法の限度内の労働時間とし、時給は最低賃金以上の業務に応じたものとする。


・労働機会提供及び賃金の制限は、就業可能な者がこの制度に頼った生活の永続を防ぐ為のものであり、就業困難な者にはこの制限は適用しない。


公的な業務に限定
提供される業務は、公共施設の維持管理・治安維持・各種役所の補完業務とする。民間から業務を請け負うことはしない。


労働機会の提供は、最低限の生活費を得る為であると共に、労働の習慣と体力の維持を目的とするもので、指導の一環でもあるので、体調不良等の特別な理由がある場合を除き、対象者による拒否は認められない。


2、希望者に対しての低家賃の宿舎の提供
希望者に対し、この制度により得ることの出来る収入で支払い可能な低家賃の宿舎を提供する。住民票登録可能。家賃は必ずこの制度により提供される労働の賃金から払うこととし、それ以外の支払い方は認めない。ただし、退去時の精算の場合を除く。


※失業中だった者が就職した場合、引越し費用が貯まるまで居住し続けることは可能。ただし、その場合も家賃の支払は上記の形で支払うこと。住み続ける限り、家賃分の最低賃金による時間給労働はしなければならない。


・支払い方法の指定は、この制度による保護を必要としない者が、この制度を悪用して低家賃の宿舎に住むことを防ぐ為。


3、自宅等の資産を有する者に対する住居費の融資
自宅のある者は、自宅に住み続けても構わない。また、それまで住んでいた賃貸住宅に住み続けることも構わない。ただし、それに関しての特別な支援は一切無く、自宅の固定資産税や賃貸住宅の家賃は正規に負担しなければならない。その為に必要な住居費を、自宅等の資産を担保として融資を行う。


社会生活適応能力の開発及び維持の為の指導と、それに伴う対象者の義務
・指導担当者を置き、対象者の指導に当たらせる。
・対象者の生活リズムを適正に保つ為、指導担当者は毎朝定時に点呼を行い、
 対象者は、特別な事情がない限り、その点呼に毎朝参加すること。
・指導担当者は、健康維持に関する指導を行い、対象者は自身の健康維持に努めること。
・通常の就業が困難でない者は、週5日の毎日4時間を、就職活動又は職能訓練に当てること。
・対象者は、社会生活で求められる税金の納付、各種公共料金の支払いを適正に行うこと。指導担当者は、それらが適正に行われるよう指導すること。
・対象者は、国民健康保険及び国民年金に加入し、保険料及び掛金の納付を行うこと。ただし、国民健康保険の保険料は生活保護対象者となってからの収入のみでの計算とする。指導担当者は、対象者がそれらを適正に納付するよう指導すること。
・対象者用は医療互助会に加入し、その会費を負担すること。
この法律による対象者への支払い減免処置は、国民健康保険の保険料計算の特例によるものと、宿舎住居の際の光熱費の基本料免除のみとし、それ以外は正規の金額を負担する。


※指導担当者の指導に従わず任意の指導では改善が望めない対象者は、強制力のある指導の行える別の制度(生活指導制度:仮称)に移管するものとし、生活保護の制度の中では強制や処罰は行わない。移管の判断は指導担当者が行い、移管に関する対象者の異議は認めない。


施設の整備
宿舎・集会所・管理事務所の整備。


(1)宿舎
希望者に提供する低家賃の宿舎を整備する。提供する宿舎の間取りは、単身世帯及び子供が10歳未満の世帯は1K、要介護者と同居の世帯及び子供が10歳以上の世帯は2Kを基本とする。他の施設を流用する場合はこれに順じた割振りをすること。家賃は施設の如何に関わらず一律で、最低賃金での労働8時間分とする。電気ガス水道は、基本料の部分は家賃に含むものとして除外し、従量制の部分のみを自己負担とする。トイレは各戸に設置。風呂は共同で使える浴場を用意し、使用料は無料とする。


(2)集会所
毎朝の点呼・朝礼を行い、提供する労働の作業場所としても使用出来るだけの広さと設備を備えた集会所を整備する。


(3)管理事務所
対象者の管理や労務の割振りを行う為の管理事務所を設置する。
管理事務所で行う業務。
・対象者の管理。
・宿舎・集会所の管理運営。
・対象者への労働の割振り。
・持病のある者の日常の健康管理、発作等に対する応急対処。
・介護や就学支援、特別融資といった各種制度の手続きに関する助言。
・就業支援。



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