秩序は富

秩序は人の手で作り上げられた財産。
大変なコストの掛かった財産。


秩序の実態は個々人の中にある。
生活を通して、教育を受けて、個々人が身に付ける。
そして、身に付けた個々が集団となって、初めて秩序として機能する。


身に付けていない者が混ざると、秩序は壊れる。
身に付けていない者が、そのままでいることを許すと、秩序は破壊されてしまう。
秩序を壊さない為には、身に付けてない者に身に付けさせるか、
身に付けてない者を、集団から排除する必要がある。
身に付けないまま中に存在することを許すと、秩序は破壊される。


その秩序を維持したいなら、身に付けてない者に身に付けることを強いるか、
集団から追い出さねばならない。選択肢はこの二つしかない。


秩序を維持したい者は、これを行う。
身に付けてない者に、身に付けることを強いる。
受け入れようとしなければ、追い出しに掛かる。
秩序を大事に思い、維持したいと思う者が行う、必然の行為。理に適った行為。




 例えば飲酒運転の禁止。昔は、飲酒運転は多くの人が普通にやってた。今のように厳しくなったのは極最近のこと。飲酒運転が如何に悪いものであるかを、あらゆる媒体を使って繰り返し繰り返し訴え、飲酒運転はやめましょうと、多くの人が様々な活動をして人々に呼びかけをし、政府も動いて法律を変え、警察が大々的に取り締まりを行い、他省庁も出来ることをし、飲酒運転をしてはいけないという秩序が出来上がった。そこに掛かった手間とコストは大変なもの。


この秩序は、大勢の個々人に植え付けられた「飲酒運転をしてはいけない」という意識の賜物。皆にその意識があるから、秩序として成り立つ。ここに、平気で飲酒運転をする者が入ると、飲酒運転をしてはいけないという指導を強いられることになる。それでも飲酒運転を止めないとなると、社会的に排除されることになる。


もしこの者がそのまま飲酒運転をすることを許されたら、飲酒運転をしてもいいんだという意識が、人々に芽生える。「飲酒運転をしてはいけない」という意識は、これによって打ち消されてしまい、飲酒運転をしないという秩序は壊れる。大変な手間とコストを掛けて作った秩序が、飲酒運転をする者を許すことで壊れてしまう。


飲酒運転がいけないと思うなら、飲酒運転をする者には、しないことを無理やりにでも強いるか、どうしても止めないというなら、社会から排除しなければならない。そのままでいることは決して許してはいけない。


これは単なる近所のゴミ出しでも同じ。
秩序を守りたいなら、強いる、排除する。
手間を掛けて作り上げた秩序という富を維持する為に、これは必要なこと。





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