「空気を読んでそれに合わせろ」

前回の続きです。


「空気を読め」をやり方と考える私はクロフネさんとはまったく逆の「空気を読んでそれに合わせろ」と主張したいと考えております。


以下、クロフネさんと私の二つの意味の違う「空気を読む」があり、それぞれ自分の思う意味で「空気を読む」を捉えて書いてることを踏まえてお読み下さい。


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> そもそも”空気が読める社会”というのは、社会の大多数のメンバーが、ほぼ同じ考え方・価値観を持っているために単一の空気を形成することが可能で、だからこそ言語というコミュニケーション手段を使わなくても、「空気を読む」ことで他人の考え方・価値観が理解できるということが大前提になっている。

その場の空気は、メンバーが、ほぼ同じ考え方・価値観を持っているから出来るというものではありません。メンバーの考え方や価値観がバラバラであろうとその場の空気は出来ます。空気は常に出来てます。まったく正反対の考え方をする者が集まってにらみ合うことで作り出されるギスギスした空気も空気です。三つ巴とか四つ巴とかでそれぞれがそれぞれを牽制し合ってることで作られる緊張感に満ちた空気も空気です。「ほぼ同じ考え方・価値観を持っている」という前提は空気の形成には不要です。


場の空気は感覚的にはすぐに掴めます。「なんかギスギスしてんな〜」とか「なんか張り詰めてるな〜」とか。その程度には掴めます。ただし何故そのような空気になってるのかはそう簡単には掴めません。それぞれの考え方を知り、それが他とどんな関係を作り出しているかを知ることで初めてそれが明確に掴めます。また情勢としてそれぞれがどのようなバランスにあるかを知ることで初めて今現在の空気がどのようなものかを掴めます。
ここまでやって初めて空気が読めてるということになります。
それぞれの考え方・相互の関係・バランス、これらを知るといっても誰かがそれを教えてくれるわけではありませんから自分でそれを掴もうとすることになります。それぞれの発言に聞き耳をたててそれぞれの考え方の把握に努め、やり取りの流れの中から今現在のバランスを読み取って掴みます。それでも全てがわかるわけではありませんから自身の経験に照らして類推して、不足部分を補って今現在の状態を掴みます。これが「空気を読む」です。


空気を読むことで相手の考え方がわかるのではなく、空気を読む為に相手の考え方を読み取ろうとするから相手の考えがわかるのです。このように解くほぐして書くと大変そうですが、また実際大変なのですが、空気を読むことを求められる文化の中で生きてきた日本人は特に意識することなくやってます。自分とは違う考え方をする人の考え方だって読み取ろうとしますし読み取りもします。「あの人はこういう人なんだな」といった感じで。ほぼ同じ考え方・価値観を持っていなくとも空気は読めるわけです。

しかし、日本社会に依然として強く残っている、”空気を読む能力を重要視する文化”というのは、日本人が世界を相手に活動する場合、かえって障害になるだろう。


なぜなら、世界というのは、さまざまな文化・宗教・言語を持つ人たちの混沌とした集まりであり、場の空気を読むことの大前提である、単一の空気が形成されっこないからである。


混沌とした集まりには混沌とした集まりとしての空気があります。その空気を読めばいいのです。


>となれば、さまざまな文化や言語を持つ人たちの集まった社会に適合した文化の方が便利であり、単一の文化・言語の成立が前提となっている、場の空気を読む文化というのが、世界交流に役に立たないのは無理もないことであろう。

場の空気を読む文化は単一の文化・言語の成立が前提となってはいません。単一の文化・言語が前提であれば改めて読む必要がありません。違うからこそ読むのです。


空気を読む為に行うことは、それぞれの考え方の把握に努めることと今現在のバランスを読み取り掴むことです。これらは世界交流に役に立ちます。交流にも役立ちますし、日本から働きかける場合にも役立ちます。世界と言う場に合った適切な言動の選択にも役立ちます。というかやるべきことです。


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今の日本の問題は空気を読んでも生かすことが出来ないことです。
空気を読む以上、それに対応した言動をしなければならないわけですが、今の日本はその対応した言動をしてません。何時も何時も日本は同じ調子。
空気は場ごとに違います。空気に合わせてるなら空気が変われば態度も変わるはず。強気に出たり引いたり、友好的に出たり突っ張ったりというように。しかし日本の態度は何時も同じ。空気を読んでやり方を変えるということをしません。つまり今の日本は空気を全然読んでないのと同じなのです。
日本の外交が駄目なのは空気を読んでるからではなく、空気を読んでそれに合わせることが出来てないからです。色々な縛りがあって空気に合わせた言動が出来なくなってるからです。
日本は空気を読んでそれに合わせる方向で努力すべきなのです。場の空気に関係なく一本調子で友好を求める日本から、場の空気を読んでそれに合わせて態度を変えられる日本になる為に。



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