「理解力の上下関係」の追加説明
車の設計者とユーザー。
車の専門家は設計者の方。ユーザーは素人。
ユーザーが車について、設計者に対して何やら言いました。振動が酷いとか低速トルクが足りないとか。それに対して、専門家である設計者がユーザーに、
「車の基礎知識を踏まえない素人が能書きを垂れるのは、将棋のルールを理解しないで、知ったかぶりの意見を披露するのと同じ」と言っていいのかどうか。
設計者は車に関する基礎知識を持ってます。車に詳しいです。一方、ユーザーは、運転こそ出来ても車に詳しくはありません。専門家が言う車の基礎知識なんてものを持ってるわけでもありません。そんなユーザーは車の事に意見してはいけないのか?
そんなことはありません。素人は素人なりにわかる範囲で意見すればいいのです。振動が多い等々と。専門家である車の設計者は、そんな素人の意見を、理解するつもりで聞かなくてはなりません。素人のいうことであっても、そこには何がしかの理由があります。それを知るために聞かなくてはなりません。
その内容が自分のわかっている範囲のものであれば、すぐに理解出来ます。このユーザーはあの振動のことを言っているのだなと。技術的にどうしても消せない類の振動ならユーザーの理解を得るしかなく、ユーザーに対して車はそういうものだということを知って下さいということになるでしょう。エンジンを掛けたら振動する(特に異常ではない普通の)なんて低レベルな意見なら、ド素人が何も知らずに意見するなということにもなるかもしれません。フンと鼻で笑って終わりにしてもいいでしょう。
それにしても、相手の言っていることを理解した後の話です。端からド素人の言うことと馬鹿にしてはいけません。
内容がおかしなものであれば要注意です。振動は振動でも思い当たるもののない振動となれば、自分がまだ気づいていない振動である可能性があります。特定の条件が整った時にのみ出る共振なのかも知れません。あり得る話です。ド素人の言うことでも専門家は耳を傾けねばなりません。理解するつもりで聞かなくてはなりません。
モノは車です。問題は車の振動です。
問題は車両の設計に関わることです
設計者は車両設計に関しては専門家です。
ユーザーは車両設計に関しては素人です。
車両の設計に関わる問題について、
車両の設計の素人の話を、
車両の設計の専門家が、
馬鹿にすることなく、理解するつもりで聞く。
こういうことになるわけです。何故こうなるのかと言えば、問題となってる振動を知っているのが素人のユーザーで、専門家である設計者はそれを知らないから。
専門家か素人かなんて関係ありません。基礎知識があるかどうかも関係有りません。問題となってるものを知っているかどうか。どっちが知っていてどっちが知らないか。これによって上下の関係が決まります。
ある特定の事柄に関して、
その事柄に関してわかっているという者が上で、
その事柄に関してわかっていない者が下です。
『理解力の上下関係』
http://d.hatena.ne.jp/sadatajp/20111225/1324742926#c
知っている素人は、知らない専門家より上です。知らない専門家は、知っている素人の話を、馬鹿にせず、謙虚に、理解するつもりで聞かなくてはなりません。25日のエントリーで私が言おうとしたのはこういうことです
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